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ボールを見る、頭固定、そんなの分かってるが当たらない!!!
初心者がゴルフボールを打つ時に上手く当てられないのは当たり前。でも、何カ月も練習しているのに上手く当てられない人はいませんか?
コーチに聞いても、ネットで調べてもボールを良く見なさい、アドレスがキチンとできてる?頭を固定しなさい と言われる。
それはすごく注意している。でも上手く当たらないし、飛距離も出ない・・・自分は運動神経が悪いから?
そんな風に考えている人はいませんか?
もしそう考えている人がいたら、自分がゴルフに向いているか、止めた方が良いのか実験してみて下さい。
使うのはパター。パターでゴルフボールを5回打って、5回とも10m先に飛ばすことができますか?
それが出来れば、あなたはゴルフの才能が十分にあります。
でも、「パターで打つのは簡単でしょ?他のクラブで打つのはそんなに簡単ではない!!!」と思ってしまいませんか?
では何故、パターで打つのは簡単で、他のクラブで打つのは難しいのでしょう?
答えは簡単です。パターでボールを打つ時に動かす関節と筋肉が少なく、再現性があるから。
それに対し他のクラブを使う場合、飛距離を出すために、クラブのヘッドスピードを上げる必要があります。
そこで使われる関節と筋肉の数が増え、再現性が無くなることでボールに上手く当てられなくなるのです。
では、あなたは飛距離を出すために、どの関節と筋肉を使っていますか?しっかり理解できていますか?
少しゴルフに使われる関節を見てみましょう。
ゴルフのスイングで使う関節は?
ボールが置かれているのは地面。その地面に付いているのは足の裏。クラブを握るのが手。
即ち、クラブヘッドのフェイス面を制御するためにはその間にある全ての関節と、それを動かす筋肉の制御をする必要があります。
もう少し分かり易く関節を分類すると、下図のように①足と骨盤の間にある関節、②骨盤と肋骨の間にある関節、③肋骨と手の間にある関節の3つに分けられます。
この分類のどれか一つを使えば、ボールを打つことができます。
例えばパター。誰かに教わらなくてもパターの動きはシンプルなので、多くの人が以下の関節のみを使ってパター面を動かします。
①を使う人:足の内転・外転(体の重心を右足から左足に移動してパター面を動かす)
②を使う人:背骨の回旋若しくは側屈
③を使う人:肩甲骨の挙上と下制若しくは内転と外転、または手首の背屈と掌屈
パターでボールを打つ時高い再現性があるのは、このように少ない関節を使って精度良くパター面を動かせるからです。
どの方法を使っても良いのですが、殆どのプロは②を使います。それにはキチンとした理由があります。
①または③を使ってパターを動かす場合、複数の関節を組み合わせて動かす必要があります。
それに対して②で動かす関節は背骨だけ。他の複数の関節を使うよりも再現性が非常に高いのです。
パターの上達法に興味のある方は、以下のURLをクリックしてみて下さい。
では他のクラブを振る場合はどうでしょう?パターと比べるとボールを遠くに飛ばす必要があるので、殆どの人が①、②、③全ての関節を使ってボールを打ちます。
①、②、③は全て独立した関節ですから、これらの関節を全て使えば、クラブヘッドの速度はその和になります。
多くの関節を使ってクラブのフェイス面を制御するのですから、ボールにクラブのフェイス面を当てるのが難しいのは当たり前です。
ではどうするか?パターの時は再現性の高い②を殆どのプロが採用していました。
それは他のクラブでも同じです。プロは①と②を再現性を上げるために利用します。その再現性を利用して③を上手く制御しています。
何カ月経ってもボールが上手く当たらない人は、①、②を有効に使わず、③をメインに使っている可能性が高い人です。
何故そうなるか?実は、ボールに当てるためのアドバイス「ボールを見る・頭固定」は、③だけを使ったスイングが一番実現し易いからです。
しかし、この③をメインに使ったスイングが、最も制御が難しく、再現性が悪いスイング方法なのです。
以下の内容に1つでも該当する人は、このスイングになっているリスクがあります。チェックしてみて下さい。
チェック1:バックスイング時に両肘を伸ばした状態でスイングを始める意識が無い。
チェック2:頭を固定しボールをしっかり見るために、できるだけ体を回転させないようにしている。
チェック3:腰の回転・捻転は知っているが、体が硬いので体を上手く回せない。
チェック4:体が硬いので、バックスイングトップでは左肘を大きく曲げている。
チェック5:左肘を曲げるとタメが作り易く、速いスイングができているように感じる。
チェック6:飛距離が出ないので意識的にコックを使うようにしている。
チェック7:バックスイングトップでコックをすると、速いスイングができているように感じる。
この意味が良く分からない人は、下の項目をしっかりと読んでみて下さい。上手く当たらない理由がハッキリと分かるはずです。
3.このバックスイングではボールに上手く当たらない理由を理解しよう
4.どうすれば安定して上手くボールに当てられるようになるか?
5.他のゴルフの技術についても筋肉・関節の動きで理解してみませんか?
では早速、説明を始めましょう。
1.ボールを見る・頭固定の意味を理解しよう
最初に、ゴルフのアドレスで、クラブフェイスをボールの位置に合わせることから整理しましょう。
下図は関節や筋肉という細かい事ではなく、足から手の先までに各関節を使ってどのようにクラブフェイス面とボールの位置を合わせているかを示しています。
各関節の曲げ方は大きく白字と赤字の2つに分けられます。
まず、白字の関節の角度は殆どのプレーヤに共通した角度。背骨を回転軸とすると、腕と回転軸のなす角度は30~40度です。
もう一つが腕とシャフトのなす角。これは140~150度です。
その白字の角度が決まると、フェイス面とボールの位置を合わせるために、赤字の関節で調整を行います。
まず、背筋を伸ばし肩甲骨を下げた状態で、クラブフェイスの下面が地面に接触するまで股関節を曲げていきます。
しかし、股関節を曲げただけでは、重心位置が前になってしまい安定しません。
体の重心が足裏の土踏まずの辺りに来るように、お尻を後方に移動するのは膝関節と足首の関節。この2つで微調整を行います。
クラブの種類でシャフトの長さが異なります。白字の関節の角度は変わりませんので、赤字の関節でシャフトの長さに応じて微調整をします。
この状態を保ったままで、フェイス面の中心にボールが来るように、両足で前後に少しずつ動き微調整するとアドレスの完成です。
地面に付いている足裏から、このように多くの関節を調整して、ボールにクラブのフェイス面を合わせているのが分かるでしょうか?
この関節部の一つでも動かしてしまうと、ボールとフェイス面の位置がズレてしまいます。
しかしゴルフはこの状態から、色々な関節と筋肉を使い、バックスイングを経てダウンスイングし、再び同じ位置にフェイス面を戻してくる必要があります。
非常に複雑な制御を行う必要があります。でもその制御を簡単にする方法があります。
その一つがボールを見ること。そしてもう一つが頭の固定です。
顔には2つの眼という立体視が可能な視覚センサーが付いており、両耳の奥には三半規管という3次元の角速度センサーが付いています。
眼は視覚センサー。眼の位置に対してボールがどの位置にあるかを横と縦方向に計測できます。2つの眼はボールを立体視することで高さ方向の計測が可能です。
三半規管は頭の3軸方向の回転量を測定するセンサー。脳はそれらの情報に基づき、頭が移動や回転をしないように固定すべく、体の筋肉に細かい指令を与え、平衡感覚を保つように制御します。
下図の黒点線が頭を固定してボールを見た時の視線。頭を固定していますからボールと頭の位置関係は変わりません。
肋骨から足までの関節は、頭を固定するために上記センサーを利用して脳が無意識に動かしますから、意識的に制御する必要が無くなります。
すると頭からクラブのフェイス面までで動く関節は首の頸椎、肩甲骨、肩関節、両肘関節と手首の関節だけに制限できます。
頭を固定してボールを見るのはこのように、制御する関節を上半身のみに制限できる利点があります。
2.ボールに当たらない人の殆どは頭固定を実践
頭を動かさない理由は、頭に備わっている眼及び三半規管という平衡感覚を維持するためのセンサーを、有効に活用するためです。
でも、頭を支えている下半身を動かして頭を動かさないのは難しそうですよね?頭を動かさない最も簡単な方法は、①と②の関節を使わない事。
①と②の関節を動かさなければ頭は動きませんし、頭が動かなければボールを見続けるのも難しくありません。
では、③の関節だけを使ってバックスイングはできるのでしょうか?
それができてしまいます。ボールがいつまで経っても当たらない人の典型的な関節の使い方です。
下の図を使って、具体的に③のどの関節を使ってバックスイングしているかを説明していきましょう。
左の図はアドレス時の関節を緑〇で示した模式図。両肩を結ぶラインと両腕によって作られる三角形で体の軸上にクラブがあります。
手の三角形は非常に安定した状態。このままではバックスイングができません。バックスイングにはこの手の三角形を崩す必要があります。
右の図はクラブを右方向に動かすために、右肘関節を屈曲し、同時に右手関節を背屈して三角形の一辺を短くしています。
三角形の一辺が短くなると両肩ラインと両手のなす角度も変える必要があります。それを行うのが右肩関節の外転と左肩関節の内転です。
でもクラブの移動だけではクラブヘッドは大きく移動しません。そこで使われるのが両腕を捻る動作。左手の甲が見えるようになります。
具体的には左腕を内側に捻る橈尺関節を使った回内、左肩関節を使った内旋、右腕を外側に捻る橈尺関節を使った回外、右肩関節を使った外旋動作です。
これらの関節を使って、グリップを右方向に移動させると共に、グリップを中心として、クラブヘッドを90度右方向に回転移動できます。
でもこれだけでは未だバックスイングトップの位置にクラブヘッドを移動できていません。
そこでその次に使用するのが肩甲骨。下の左図のように肩甲骨を挙上し、左肩甲骨を外転、右肩甲骨を内転してクラブヘッドを上に持ち上げます。
更に右肩甲骨を上方回旋すると左腕が更に回内し、前からはグリップの頭が見えるようになります。
しかしこれでも未だプロゴルファーのようにクラブヘッドを頭の後ろ上方に持っていくことができません。
そこで最後に使うのが右の図のような左肘関節の屈曲と右手首の撓屈(コック)。これでやっとバックスイングトップの完成です。
この関節の動かし方は①、②の関節を殆ど使わない場合。
①、②の関節を使っていると思っていても、上記に近いスイングをしている人は、実際には①、②の関節を有効に使えていません。
殆ど③の関節のみでバックスイングを行っているので、ボールに上手く当てられない可能性が高くなります。
3.このバックスイングではボールに上手く当たらない理由を理解しよう
でも、何故このバックスイングではボールに上手く当てられないのでしょう?それが理解できないとフォームを直したいと思いませんよね?
このフォームの問題は大きく分けて三つです。それをしっかり認識しましょう。
まず一つ目が「バックスイングで足りない分は、左肘の屈曲やコックで補えば速いスイングができる」という発想です。
勿論、この発想はバックスイングとダウンスイングの環境が同じであれば正しいです。しかし、地球には重力があります。スイングは重力で大きな影響を受けます。
簡単な実験をしてみましょう。下左図のように、クラブヘッドの下に座布団を引き、ゴルフのアドレスで構えてみて下さい。
次に下右図のように両肘を曲げ(屈曲)、両手首をコック(撓屈)してクラブを上に持ち上げます。
クラブを持ち上げたら、次は両肘を伸展(伸ばす)、両手首を尺屈(コックを元に戻す)してクラブを振り下ろし、座布団にクラブが当たらないように止めてみて下さい。
殆どの人はクラブヘッドでしっかり座布団を叩いてしまっていると思います。何故でしょう?これは重力と慣性力の影響によるものです。
クラブを持ち上げる時は手の筋肉は重力に逆らった方向に作用しています。よって、上げる速度は遅く、制御が容易にできます。
ところが振り下ろす時は重力と同じ方向に筋肉が作用します。当然振り下ろし速度は速くなり、座布団の上ではクラブは最高速になっています。
動いているものは運動エネルギーを持っており、それを止めようとすると止まらせない慣性力が働きます。
それを制御して上手く座布団の直前でクラブヘッドを止めるのには、それを制御する肘及び手首の力と、それを制御する練習が必要となります。
ゴルフのスイングはもう少し複雑ですが、バックスイング時に左肘を曲げずに、コックも行わない人は左上図のままです。
クラブヘッドの加速のために左肘の伸展、左手首のコックの解放を使いません。主に①、②の関節を使い、体の回転でクラブヘッドを加速します。
上記のような難しい筋肉の制御は不要となるのです。
もう一つ、この実験で違和感はありませんでしたか?
クラブヘッドの速度を上げる必要があるのは、ボールを飛ばす紙面と直交する前後方向。でもこの実験では紙面と平行な上下のトップとダフリの方向への加速。
必要な加速方向が90度違うと思いませんか?
実は肘の伸展やコックの解放はそのタイミングが重要で、それを理解しないとクラブヘッドは加速できません。ダフリやトップのリスクが増えるだけです。
単純にバックスイングトップの位置をプロと同じにするために、左肘を屈曲したり、左手首の撓屈(コック)を行うのは、ミート率を下げる原因とお考え下さい。
勿論、左肘の屈曲やコックを効果的に使える人もいます。コックを使ったヘッドスピード上げる方法について知りたい方は、
を読んでみて下さい。でも内容が高度になるので、ボールに上手く当てられるようになってから読むことをお勧めします。
そして二つ目が「自分は体が硬いから左肘を曲げないと大きなバックスイングができない」という思い込みです。
殆どの左肘を大きく曲げる人は肩の回転をしているのではなく、バックスイングで左肩甲骨の外転、右肩甲骨の内転を行います。
そしてダウンスイングでは左肩甲骨の内転、右肩甲骨の外転を行っています。
この回転角は±30度。これだけではバックスイングトップで顔の下に、左肩をしっかり持て来ることができません。
では③だけでバックスイングした時と、プロが行うバックスイングを比較してみましょう。
下左図が③だけを使ったバックスイング。肩線が肩甲骨の内転、外転分だけしか動いていません。
肩甲骨を30度回転させただけでは、プロと同じシャフト位置まで持っていけません。残りの60度は左肘の屈曲とコックで補う必要があります。
それに対し、真ん中の図が体重移動型のプロのスイング。体を捻るメインに①の関節を使い、肩線が90度まで回転しているのが分かります。
右の図が回転軸固定型のプロのスイング。体を捻るメインに②の関節を使い、同様に肩線が90度まで回転しているのが分かります。
①と②を合わせた肋骨自体を回転させる肩の回転角は±60度。肩甲骨の回転角±30度と合わせて顔の下に肩を持ってくることができます。
プロのスイングは肩線を90度まで回転させているので、左肘を曲げなくても、コックを使わなくてもクラブを目標位置まで動かせているのです。
そして三つ目が「バックスイングで動かした関節を、ダウンスイングでアドレス状態に戻すことができれば、ボールに上手く当てられる」という発想です。
確かに、アドレス状態ではフェイス面はボールを打つ方向にしっかり向いています。でもこれはクラブが止まっている前提。
実際にはボールを打つために、フェイス面を右足方向から左足方向に移動しなければなりません。
その時のフェイス面は打点の前後でどうなっているか考えたことがあるでしょうか?
下の左図は、③のみを使ったスイングのバックスイングからの振り下ろしで、ボールを打つ前の図です。
バックスイングで回内した左腕を戻しつつ(回外)、右肘は屈曲した状態を伸展(伸ばす)しながら右腕を回内しています。
この段階ではフェイス面は大きく右を向いています。
上から振り下ろすクラブヘッドを振り子の原理で横方向の移動に変えているのですが、その時の回転軸は腕の構造上、肘が伸びている左肩関節となります。
フェイス面がボールの直前まで来た時が真ん中の図。右肘は伸展し終わり、真っすぐになっています。アドレス時に作った手の三角形の再現です。
フェイス面もボールを打つ方向を向いています。この状態で当てればボールは真っすぐに打ちたい方向に飛びます。
しかし、手の三角形が形成されると安定状態になり、それ以上フェイス面が前に進まなくなります。
折角、ダウンスイングで得たヘッドスピードを維持するには、今度は左肘を屈曲(曲げる)しなければなりません。それが右図です。
左肘を曲げた時点で、回転軸は肘が伸びている右肩関節にスイッチされます。クラブは左手の方が手前を握っていますので、急速にフェイス面は左方向を向き始めます。
即ち、この打ち方では、インパクトの瞬間の前後でフェイス面が右方向から左方向に変わってしまい、且つ、回転軸も変わってしまうのです。
ちょっとでも早く振ってしまうと左肩関節が回転軸でフェイス面は右向きでスライス。遅く振ると右肩関節が回転軸でフェイス面は左向きでフック。
これではスイングの再現性は非常に悪くなってしまいます。
ではプロはこの問題をどのように解決しているのでしょう?これはプロのインパクトの瞬間を見て頂ければ直ぐに分かります。
下左図がアドレス時のフォーム。両肘が伸びているのが分かります。
そして右側の図が男女2人のプロのインパクト時のフォーム。左肘は伸びていますが、右肘はしっかり屈曲した状態でインパクトを迎えています。
両肘がしっかり伸びる「手の三角形」ができるのは、ボールを打ち終わってから大分後になります。それまでは回転軸は左肩関節のままです。
でも、右肘が曲がった状態では、フェイス面は右を向いていると思いませんか?その修正は肩の回転。
アドレス時よりも肩の開きが早く、少し前を向いた状態になっているのが分かると思います。
フェイス面は肩の回転分左方向を向きますので、フェイス面を真っすぐにできます。肩の回転があると、フェイス面の調整が可能なのです。
即ち、プロのスイングではインパクトの前後で回転軸は変わりませんし、左肘も曲げないのでフェイス面はゆっくりと方向を変えていきます。
多少の早打ちや振り遅れではフェイス面は大きく変わりません。その分再現性が高くなり、大きなミスにならないのです。
4.どうすれば安定して上手くボールに当てられるようになるか?
ではどのようにすれば安定して上手くボールに当てられるようになるか?
一般的なボールが当たらない原因としては、
1.ボールを見ていない、2.身体がブレている、3.全力でフルスイングしている、4.アドレスができていない、5.練習量が足りない
等。これを反意語にすれば直すアドバイスが導き出されます。
1.ボールをよく見る、2.頭を固定する、3.5~7割の力で打つ、4.両足を地面に付ける、5.グリップを短く持つ、ティアップ等の工夫で慣れる
等です。でも数カ月~年の間、練習してもボールが当たらない状況で、前記チェック項目1~7に該当する人は、上記アドバイスでは直りません。
根本的なフォームの見直しが必要です。
具体的には、③の関節だけでスイングをせず、メインで①と②の関節を使って肩を回転させ、それに③の関節を追加するフォームに変更します。
でも、今まで③の関節だけを使っていた人に、「①、②の関節を使え」と言っても、どうやって打つか分からないと思います。
野球,テニス,卓球,バトミントンなどの、動いている球を打つスポーツを本格的にやった経験がある人は、頭を固定した状態で体を回転させることができます。
体の回転とは①、②の関節を使って肩を回転させる技術です。ところがその経験が少ないと、頭を固定して①、②の関節を上手く使うことができません。
「体が硬くて回転できない」と思っている人の中の多くは、体を回転させる経験が少ない人です。体が硬いのではありません。
ゴルフで体の回転を上手く使いこなす練習が必要となります。重要なことは、③の関節の使用を封印して、①と②の関節のみでボールを前に飛ばす練習です。
③の封印のためには、ゴルフのアドレスで構えてから、両肩を下げて、両手の肘を曲げ×を作って胸に当てて下さい。
①の関節を上手く使う練習から始めましょう。これは「体重移動型」のプロを真似たスイング練習となります。クラブは持ちません。
最初はアドレスの状態から両足に均等に体重をかけ、腰を45度右に回転してみて下さい。へっぴり腰になって、上手く回転できないのではないでしょうか?
それを改善するには「体重移動」が重要です。バックスイングで右足に体重の殆どをかければ、その回転軸は右足の股関節だけになります。
でも右足だけで立つのは安定しませんので、左足にもある程度体重を残し、体のバランスが取れるようにサポートします。
下図のように右足に体重を9割かけて腰を45度右に回転してみて下さい。頭の位置も右に移動します。
両足に体重をかけて腰を回転させるよりも安定しているはずです。体を支えるために制御する関節が少ないので、自由度が無い分、安定するのです。
次は右足に体重9割をかけたまま、腰の回転をアドレス位置0度まで戻し、更に腰を45度左に回転してみて下さい。
腰は回転できると思いますが、またへっぴり腰になり、あまり速く回転できないのではないでしょうか?
理由は簡単。腰を回転するのに右股関節の外旋を行う筋肉だけで回転しているからです。
この筋肉を効率よく動かすのに必要なのも「体重移動」。今度は頭の位置は動かさず、腰の位置を右から左へ移動してみて下さい。
頭を動かさないで腰の位置を移動させると背骨が側屈します。意識しなくても体の構造上、自然にそうなります。
腰を移動すると体の重心が右から左に動き、右足にかかっていた体重を今度は左足で支える必要があります。
左足に体重がかかると、回転軸は左足の左股関節となり、内旋の筋肉で腰を回転します。これを連続でやって腰を回転してみて下さい。
ポイントは両方の股関節を意識して、できるだけ早く右の股関節から左の股関節へ回転軸を移すこと。
頭の位置は変えていないので、体の軸は傾いた状態になります。右足には殆ど体重がかかっていないので、右ひざを曲げて足の裏が後ろを向くようにしてみて下さい。
腰の位置の右から左への移動は、上記筋肉の動きをサポートし、回転力の源になります。これで右45度から左45度への腰の高速回転ができます。
でもこれは腰の回転。肩を回転させるのが目的ですので、お腹に力を入れて、腰の回転と同じ量だけ肩も回転するように心がけます。
できたでしょうか?この動きがスムーズに行えるように練習して下さい。
頭は右にシフトした状態で、両足の中心に置いたボールを目で見続けます。肩の回転と逆方向に首の頸椎を回転させれば顔は動きません。
最終チェックポイントは右45度の回転で左肩、左45度回転で右肩が目で見えればOKです。
では次に胸から手を放してクラブのグリップを握ったつもりで、両手を合わせてアドレスをとってみましょう。両肘はしっかり伸ばします。
そして今までと同じように腰を左45度から右45度に回転してみて下さい。両肘を伸ばしていれば、肩の回転に合わせて手も大きく回転するのが分かると思います。
これが①の関節だけを使った体の回転です。②の背骨は側屈のみ、③の肩甲骨と手の関節は完全に固定して使っていません。
この動作がスムーズにできるようになったら、いよいよクラブを持った練習です。持つクラブは最初からドライバー。
まず素振りを行って、クラブヘッドが地面を叩かず、空振りにならないように軽く地面に当たって、「シュッ」という音がなるように練習して下さい。
それが上手く行かない場合、理由は「センサーのある頭が動いている」か「③の関節を使ってしまっている」のどちらかです。
特にバックスイングでアームシャフト角や回転軸アーム角を動かしていないか、どちらかの肘を曲げていないか確認しましょう。
これらを動かしてしまうと折角合わせていたフェイス面とボールの位置関係が変わってしまいます。
他にも注意するのが、両肘を伸ばしたままでもできてしまう腕を捻る回外、回内動作。この練習は肩の回転だけでボールを打つためのものです。
両肘を伸ばしたまま両腕を捻るのは、通常のスイングでもやってはいけない「手をコネル」打ち方。
本当のスイングで使う回外と回外は、曲がっている右肘を伸ばしていく過程で行われます。ここでは腕を捻らないようにガマンしましょう。
上手くできたら低いティを使ってボールを地面から浮かせ、両足の真ん中にボールを置いて打ってみます。
ボールは同じ方向にしっかり飛んでいくはずです。それも今までの自分のスイングとは比較にならない位、当たり損ないのミスショットが減るハズです。
理由は簡単。①と②の関節のみを動かしてスイングしているのですから、スイングの再現性が高いのです。
タイミングが分かってくると、40~50歳代の男性ならば100ヤードはボールが飛んでいきます。
慣れてきたら腰の回転を60度まで増やして下さい。飛距離が更に50ヤード程伸びます。
上手くできるようになったら、全てのクラブで同じことを行います。クラブの重たさやシャフトの長さの違いはありますが、基本は全て同じです。
これで①、②の関節だけを使ってボールを打つことができました。左肘を曲げたりコックを使ってクラブヘッドを高く上げなくても、ボールは飛ぶのです。
この肩の回転で打つスイングが慣れてきたら、いよいよ次のステップです。
③を使ったバックスイングの最初に行う右肘関節の屈曲・ヒンジ(右手関節の背屈)・右腕の回外・左腕の回内を追加します。
ポイントは下図のように、両肘を伸ばしたバックスイングで、もう肩の回転ができなくなる位置まで両手を左に動かした後から右肘の屈曲を始めます。
最初はほんの少し右肘を屈曲する感じから始めて下さい。
ダウンスイングは下右図のように先ほどの位置までです。右肘を伸展しその位置で両肘が伸び切る感じです。
このダウンスイングの目標位置は、ボールのインパクト地点から離れた位置です。即ち、インパクト位置ではまだ右肘が伸び切っていません。
右肘が伸び切らなければ、回転軸は左肩関節のままです。インパクト時には手の三角形もできていないので、ヘッドスピードはそのまま維持されます。
右肘を屈曲したバックスイングでもしっかりボールをインパクトできることが分かれば、少しずつ右肘の屈曲量を大きくしていきます。
それに合わせて、手の構造上、ヒンジ(右手関節の背屈)も形成されていきます。
左肩が顎の下にありますので、左肩が顎の下に付くようにすると、左肩甲骨の挙上・右腕の回外・左腕の回内も合わせて行われます。
左肘を曲げず、コックを行わなくてもクラブヘッドは高い位置まで上がっています。バックスイングトップの完成です。
クラブヘッドが高く上がればダウンスイングで重力を有効利用できます。ダウンスイングでの右腕の回内・左腕の回外は更にヘッドスピードを加速します。
腕の回内・回外でヘッドスピードが速くなる理由を知りたい方は、下記URLの「手の返しをする?しない?」を読んでみて下さい。
ヘッドスピードが上がれば、ダウンスイングで両肘が伸びてもクラブヘッドは止まりません。その勢いでクラブヘッドは上がり自然にフィニッシュが形成できます。
ここまで出来れば、やっと100切りを目指せる一般のゴルファーに仲間入りです。安定してボールをインパクトできるはずです。
5.他のゴルフの技術についても筋肉・関節の動きで理解してみませんか?
如何でしょうか?難しいと思われるゴルフのフォームも、一つ一つの動作で関節の動きやそれを動かす筋肉を意識して練習すれば、意外とできてしまうと思いませんか?
定義が不明確な言葉を使わないので、共通な用語である筋肉や関節、その動かし方を理解すれば、自ら実験検証し、その状態を確認できます。
何が正しいのか、スイングの何処に問題があるのかを自分で判断できるようになります。
例えば今回は「体重移動型」のスイング方法について書きましたが、もう一つ「回転軸固定型」のプロもいます。
以下のURLでその違いが分かります。テニスや野球などのスポーツを真剣にやっていた方で、スライスが止まらない人は「回転軸固定型」がお薦めです。
腕の回内・回外を有効に使うと飛距離を伸ばすことができます。しかし、クラブヘッドを回転させる動きなので、そのタイミングがズレるとシャンクになります。
シャンクはクラブの付け根やヒールに当たって起きると考えている人が多いですが、それは全体のシャンクの1%以下。
本当のシャンクの原因は、この腕の回内・回外の使い方が間違っているために起きるものです。詳しく知りたい方は以下のURLをクリックしてみて下さい。
ゴルフの技術についても筋肉・関節の動きで全て理解できれば、独学は可能です。これが科学的にゴルフを理解することになります。
上記内容以外にも、ゴルフ用語で曖昧な定義のものはたくさんあります。その一つ一つに対し、上記のような関節と筋肉、その使い方で説明しているのが
です。上記項目に関しても、更に深堀して解説しています。内容に興味がある方はご連絡下さい。
またこのURLに書かれた内容に興味を持ち、「関節と筋肉で考えるゴルフ」をやってみたい方は以下のFacebookにアクセスしてみて下さい。
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